不迷失的羊 妄想文 忍者ブログ
徒然なるままに、妄想。
[1]  [2]  [3
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

とりあえず今までの日記から続HW恋物語だけ移行しようと思います。
今までの日記は程よい頃にお別れします。

「あ、ああ、藍染社長!」
「なんだい、ギン。昼真っから喚かないでくれないか」
狐面に驚愕を貼り付けた副社長が口から煎餅を零しなが叫ぶと、呼ばれた若社長・藍染惣右介(推定年齢・32歳)は手にしていた紅茶のカップをテーブルに置き、心底嫌そうに副社長・市丸ギン(年齢不詳)を見遣った。そんな上司の冷たい視線には慣れっこの市丸は座っていたソファから慌しく立ち上がると、煎餅の小さな欠片が満遍なく付着した雑誌の見開き1ページを社長の眼前に突きつけた。
「汚いな。私の服が汚れるだろう」
パラパラと煎餅の欠片が零れ落ちる雑誌を押しのけながら、藍染はひどく不快げに顔を歪め吐き捨てた。
「そんなん言うてる場合とちゃいますて!ここ読んだってください!」
「お前が読むような低俗な雑誌に興味はない」
「ごちゃごちゃいらんこと言うとらんと、ちゃっちゃっと見ればええんです!」
執拗に言い募る市丸に、迷惑極まりないといった様で藍染がこれ見よがしにため息を吐く。
「・・・下らないことなら、今月のお前の給料は6割カットだぞ」
「社長。市丸副社長の今月分給与を6割カットだと、保険料を天引きするとおそらく交通費よりも低くなってしまうかと思いますが」
藍染の言葉のままいち早く市丸の給与計算をした経理担当のウルキオラが無表情で言えば、「かまわないよ」と藍染が素っ気無く返す。
「んなアホなっ!なんて横暴やっ!国に訴えたるっ!」
「ギン。私に噛み付く前にもっと賢くなれ。国に訴えたらお前は間違いなく失業するぞ」
「この会社自体が色々な法に反してますからね」
呆れた口調の藍染にウルキオラが当然のように同調する。
「まあ、お前がどうしてもブタ箱に入りたいというなら私は止めないが」
「・・・・・・すんませんでした・・・」
これ以上ないくらい醒めた眼差しを向けてくる藍染に市丸は素直に謝罪した。そして自分の机に戻りかけたところではっとした表情になると、「あかんあかん。忘れるとこやった」と再び藍染に向き直って手にしていた雑誌をその眼前で広げた。
「藍染社長!ほら!ここ見てください!!」
いつにも増してしつこい市丸に渋々といったように藍染は、目の前で広げられたページをじっと凝視する。そこにはびっしりと小さな文字で書かれた記事と、何枚かの小さな写真が載っている。市丸が読むのは大抵が下世話な週刊誌か漫画雑誌だ。漫画ではないところを見るとどうやら前者らしい。面倒臭そうに記事を読んでいく藍染の表情がふいに強張った。
「・・・これは・・・」
「これ、絶対あいつやろ?!こんなアホみたいに青い髪の奴が他におるわけないもんな!せやろっ?!」
茫然と呟く藍染に市丸が興奮したように喚き散らす。


☆電○男を越える感動物語!!無職男が掴んだ恋の花。幸せを呼ぶ『奇跡の20番窓口』☆
証言者・現在某職業安定所に通う求職者Aさん
『私はG・Jさんが初めてここに来た時から知ってるんですけど、普段は強面の近寄りがたいヤンキーっぽい兄ちゃんなのに、Kさんの前に出ると途端にまごまごしてすごく微笑ましかったんですよ~。私も密かに応援してたんです。2人には是非とも幸せになって欲しいです』
証言者・職員Uさん
『ええ。Jさんはああ見えて一途でマメで、いつも仕事が終わった後Kさんを迎えに来るんですよ。可愛らしいでしょ?ほんとお似合いの2人だと思いますわ。え?男同士?そんなこと2人の純粋な愛の前では些細なことですわ。私はこれからも彼らを見守っていきますから』

某日、某職業安定所は歓喜の声に包まれた。不遇の人生を過ごしてきたG・Jさん(仮名・推定26歳)の初恋が実ったのだ。お相手は安定所に勤めるK・Iさん。2人とも男である。2人が初めて顔を合わせたのは・・・・・・・・・。


誌面には彼らの出会いから途中経過、幸せな結末まで事細かに綴られていた。そして記事の最後に掲載されている目元を隠された小さな人物写真。有り得ないほど真っ青な髪の毛に独特のヘアスタイル。その顔貌は間違いなく・・・。
「グリムジョーか・・・」
藍染が驚きを隠しもせず其の名を口にすると、やはり無表情のままウルキオラが「ああ、あの無能な馬鹿か」となんの感慨もなく呟いた。
「有り得ん!!こないなええ男がいまだにひとりモンやのに、なしてあんなヤンキー崩れに恋人が出来るんや!世の中間違うとるっ!」
「お前がいい男かどうかは知らんが、確かにこれは予想外の出来事だな・・・」
苛立った声をあげる市丸を鬱陶しそうに見遣りながら藍染がもう一度記事を読み直す。職業安定所という公共の場で繰り広げられた恋物語は、その経過を何十人もの人間が見守っていたらしく非常に細かなエピソードまで語られていた。
(K・Iか・・・・・・)
単純馬鹿なグリムジョーの行動は予想できる範疇のものでさしたる驚きはないが、グリムジョーが惚れたという男性職員に藍染は非常に興味を持った。
「ウルキオラ」
「はい」
「今日の午後からの山本組の若頭との会食はキャンセルだ」
「わかりました。すぐに伝えます」
藍染の台詞に、ウルキオラはすぐに目の前の電話の受話器をとると何も見ずに番号を押しはじめる。その間に藍染はささっと自らの机を片付け、椅子にかけていたスーツの上着を羽織った。
「?どっか行きはるんですか?」
市丸の問いに藍染は口許に酷薄そうな笑みを浮かべてみせる。

「不遇な人生だったらしいグリムジョーにやっと訪れた幸福を、元上司として祝ってあげようと思ってね」



てわけで、ふいに仕事中思いついたHW物語のその後。

藍染創業は相当やばい仕事やってそうです。

PR
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
HN:
東洋/わん
HP:
性別:
女性
自己紹介:
槇原氏とカープを日々崇め奉る腐女子。ユノに並ならぬ愛を注ぐ。細々と妄想を吐き出しながら自堕落に生きる駄目社会人。
最新コメント
[09/03 わん]
[09/02 神楽]
[12/27 わん]
[12/27 神楽]
[11/17 わん]
忍者ブログ [PR]