不迷失的羊 忍者ブログ
徒然なるままに、妄想。
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こんなことやるより鰤の日記連載打つべきだと、私自身が一番よくわかってます・・・。

続HW恋物語3

「こんにちわ」
藍染らが中へ入ると、眼鏡をかけきちんと髪を結わえた聡明そうな女性職員がえらく事務的な口調で声を掛けて来た。
「こんちわ~~」
それに対し市丸が胡散臭い笑みを貼り付けて手をひらひら振りながら愛想よく返すが、『職業安定課・伊勢』と記されたネームプレートをつけた女性は微塵も表情を緩ませることなく、「本日はいかがされましたか?」とごくごく冷静に話を続ける。
「彼が先日会社を退職したので、今日は彼の職探しを手伝おうかと思いまして」
女性のどことなく胡乱な眼差しを受け、咄嗟に藍染は横に立つウルキオラの肩に手を置いて穏やかな口調で言った。ここで下手なことを口にしようものなら、この生真面目そうな女性職員に『求職者以外はお帰り下さい』と素気無く門前払いされそうだったからだ。
「確かに相当顔色が悪いようですね」
すると女性はまるで患者を診る医者のような視線をウルキオラに向けると、やや顔を曇らせながら呟いた。
「ここに来るより、病院へ行かれた方がいいんじゃないですか?」
「・・・俺は元々この顔色だ」
神妙な顔で告げる女性にウルキオラは無表情のまま淡々と言い返した。
「わかりました。では受付しますので、離職票と身分証拝見させていただいてよろしいですか?」
「・・・離職票・・・・?」
「会社から貰われてないですか?」
怪訝に問い返すウルキオラに女性が不審も露わな声で更に問い返す。するとウルキオラがやや困惑したような表情を浮かべて隣に立つ藍染を窺う。
「社長・・・」
「社長?」
ぼそりと躊躇いがちに呟かれたウルキオラの台詞を耳聡く拾った女性が眉根に皺を寄せて低く繰り返す。そして不審と疑念と嫌疑に満ちた眼差しを藍染へと向ける。
「貴方、離職票も出していないのに彼をここに連れてきたんですか?ここでどんな手続きがあるか普通ならご存知ですよね?彼、本当は退職していないんじゃないですか?」
「退職しとるよ!なあウルキオラ?」
「俺は今無職だ」
矢継ぎ早に刺々しく藍染に質問を浴びせかける女性に向かって慌てたように市丸がフォローを入れれば、やはり無表情のウルキオラが強く言い切る。
「・・・社長さん、虚偽の申告は犯罪ですよ」
きっと鋭い目で見据えてくる女性に藍染も不快そうに眉を顰めた。
「この私が犯罪者だと、そう言いたいのかね・・・?」
「・・・・・・なしてばれてんのやろ」
不穏な空気を纏う藍染の横でこっそりと市丸が感嘆を籠めて小さく呟きを洩らす。睨み合う眼鏡男と眼鏡女との間にバチバチと火花が散ろうとした、その時。
「なにやってんだ?七緒さん」
ややぶっきらぼうな声が女性の背後から聞こえてきた。
「黒崎君」
七緒と呼ばれた女性が身体を半身にして後を振り返れば、そこから鮮やかな橙色が覗いて見えた。



・・・七緒さんの眼鏡には不審者レーダーが装備されてます。

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ぶろぐの記事は色んな機能がついてるので楽しいですね。

続HW恋物語2

「なんやえらい暑いなぁ。冷房効いてへんのとちゃうか?ほんま市民に優しゅうない交通機関やわ。せやからタクシーで行こて言うたのに」
「喧しいぞ、ギン。私はあの車内のにおいが駄目なんだ。知っているだろう」
「案外繊細ですからね」
駅前から市役所行きのバスに乗った藍染創業の社長・副社長・経理はバスの一番後ろの席を陣取り一路ハローワークを目指していた。見目はいいものの、どことなく胡散臭い男と狐っぽい男とひどく顔色の悪い男の3人連れは無駄に車内で目立っていた。
「社長、次の停留所です」
「ギン、ブザーを押せ」
「なしてボク?」
「お前が端の席に座っているからだ」
「副社長、早くしないと行き過ぎてしまいます」
「ウルキオラ、バス代はいくらだ?」
「1人260円ですから、3人で780円です」
「ギン、小銭は持ってるな。早く出せ」
「せやからなしてボク?ボクの小銭は自販機でジュース買う為のもんやのに」
「お前は甘いものを摂り過ぎだ。糖尿になるぞ」
「停留所が見えました」
駅から微妙に空調の効いていないバスに乗ること20分弱、3人は目的地までたどり着いた。目指すハローワークは停留所から5分ほど通りを真っ直ぐに歩いたところにある。
「あれ?」
暑い暑いと相変わらず喚きながら歩く市丸がふと何かに気付いたような顔になる。
「そおいや、藍染社長。グリムジョーは今は働いてんのやろ?ハローワーク行ってもおらんやん」
全くもって今更な質問に藍染が呆れ果てた眼差しで副社長を見遣る。
「お前はあの記事の何処を読んでいたんだ。グリムジョーはいつも仕事終わりにハローワーク勤務の恋人を迎えに行くという証言が載っていただろう。ハローワークで待っていれば嫌でも会うさ」
「いい年した男のする行動じゃないですが」
藍染の隣のウルキオラが醒めきった口調と声音でぼそりと呟く。
「けどあのグリムジョーに恋人やなんて未だに信じれんわ。しかも男同士やろ。更に相手はお堅い公務員。ほんま世の中は不思議なことばっかりや」
「あの堅物のグリムジョーが惚れ込んだという人物に是非とも会いたいものだ」
薄っすらと酷薄な笑みをのせる藍染を今度は市丸が呆れた表情で見遣る。
「やっぱそっちが目的やったんですね。グリムジョーにお祝いやなんてオカシイ思うたわ」
「気付くのが遅いです、副社長」
「一言多いで、ウルキオラ。・・・やけど会うてどないしはるんです?男なんかに会うてもなんもオモロイことないですやん」
「充分に面白いじゃないか」
つまらなそうに言う市丸に藍染が心外だとでも言いたげな表情で返す。そうやって無駄な会話をしながら歩いているとウルキオラがふいに足を止めた。
「此処ですね」
藍染らの目の前には木々に囲まれたひっそりとした薄茶色の建物。少しばかり汚れた標識には『空座市公共職業安定所』と書かれてある。
「さて・・・」
其れを見た藍染はひどく楽しげな笑みを浮かべて、建物の中へ足取り軽く入っていった。



・・・藍氏はタクシーのあのにおいが駄目なんだよ。



とりあえず今までの日記から続HW恋物語だけ移行しようと思います。
今までの日記は程よい頃にお別れします。

「あ、ああ、藍染社長!」
「なんだい、ギン。昼真っから喚かないでくれないか」
狐面に驚愕を貼り付けた副社長が口から煎餅を零しなが叫ぶと、呼ばれた若社長・藍染惣右介(推定年齢・32歳)は手にしていた紅茶のカップをテーブルに置き、心底嫌そうに副社長・市丸ギン(年齢不詳)を見遣った。そんな上司の冷たい視線には慣れっこの市丸は座っていたソファから慌しく立ち上がると、煎餅の小さな欠片が満遍なく付着した雑誌の見開き1ページを社長の眼前に突きつけた。
「汚いな。私の服が汚れるだろう」
パラパラと煎餅の欠片が零れ落ちる雑誌を押しのけながら、藍染はひどく不快げに顔を歪め吐き捨てた。
「そんなん言うてる場合とちゃいますて!ここ読んだってください!」
「お前が読むような低俗な雑誌に興味はない」
「ごちゃごちゃいらんこと言うとらんと、ちゃっちゃっと見ればええんです!」
執拗に言い募る市丸に、迷惑極まりないといった様で藍染がこれ見よがしにため息を吐く。
「・・・下らないことなら、今月のお前の給料は6割カットだぞ」
「社長。市丸副社長の今月分給与を6割カットだと、保険料を天引きするとおそらく交通費よりも低くなってしまうかと思いますが」
藍染の言葉のままいち早く市丸の給与計算をした経理担当のウルキオラが無表情で言えば、「かまわないよ」と藍染が素っ気無く返す。
「んなアホなっ!なんて横暴やっ!国に訴えたるっ!」
「ギン。私に噛み付く前にもっと賢くなれ。国に訴えたらお前は間違いなく失業するぞ」
「この会社自体が色々な法に反してますからね」
呆れた口調の藍染にウルキオラが当然のように同調する。
「まあ、お前がどうしてもブタ箱に入りたいというなら私は止めないが」
「・・・・・・すんませんでした・・・」
これ以上ないくらい醒めた眼差しを向けてくる藍染に市丸は素直に謝罪した。そして自分の机に戻りかけたところではっとした表情になると、「あかんあかん。忘れるとこやった」と再び藍染に向き直って手にしていた雑誌をその眼前で広げた。
「藍染社長!ほら!ここ見てください!!」
いつにも増してしつこい市丸に渋々といったように藍染は、目の前で広げられたページをじっと凝視する。そこにはびっしりと小さな文字で書かれた記事と、何枚かの小さな写真が載っている。市丸が読むのは大抵が下世話な週刊誌か漫画雑誌だ。漫画ではないところを見るとどうやら前者らしい。面倒臭そうに記事を読んでいく藍染の表情がふいに強張った。
「・・・これは・・・」
「これ、絶対あいつやろ?!こんなアホみたいに青い髪の奴が他におるわけないもんな!せやろっ?!」
茫然と呟く藍染に市丸が興奮したように喚き散らす。


☆電○男を越える感動物語!!無職男が掴んだ恋の花。幸せを呼ぶ『奇跡の20番窓口』☆
証言者・現在某職業安定所に通う求職者Aさん
『私はG・Jさんが初めてここに来た時から知ってるんですけど、普段は強面の近寄りがたいヤンキーっぽい兄ちゃんなのに、Kさんの前に出ると途端にまごまごしてすごく微笑ましかったんですよ~。私も密かに応援してたんです。2人には是非とも幸せになって欲しいです』
証言者・職員Uさん
『ええ。Jさんはああ見えて一途でマメで、いつも仕事が終わった後Kさんを迎えに来るんですよ。可愛らしいでしょ?ほんとお似合いの2人だと思いますわ。え?男同士?そんなこと2人の純粋な愛の前では些細なことですわ。私はこれからも彼らを見守っていきますから』

某日、某職業安定所は歓喜の声に包まれた。不遇の人生を過ごしてきたG・Jさん(仮名・推定26歳)の初恋が実ったのだ。お相手は安定所に勤めるK・Iさん。2人とも男である。2人が初めて顔を合わせたのは・・・・・・・・・。


誌面には彼らの出会いから途中経過、幸せな結末まで事細かに綴られていた。そして記事の最後に掲載されている目元を隠された小さな人物写真。有り得ないほど真っ青な髪の毛に独特のヘアスタイル。その顔貌は間違いなく・・・。
「グリムジョーか・・・」
藍染が驚きを隠しもせず其の名を口にすると、やはり無表情のままウルキオラが「ああ、あの無能な馬鹿か」となんの感慨もなく呟いた。
「有り得ん!!こないなええ男がいまだにひとりモンやのに、なしてあんなヤンキー崩れに恋人が出来るんや!世の中間違うとるっ!」
「お前がいい男かどうかは知らんが、確かにこれは予想外の出来事だな・・・」
苛立った声をあげる市丸を鬱陶しそうに見遣りながら藍染がもう一度記事を読み直す。職業安定所という公共の場で繰り広げられた恋物語は、その経過を何十人もの人間が見守っていたらしく非常に細かなエピソードまで語られていた。
(K・Iか・・・・・・)
単純馬鹿なグリムジョーの行動は予想できる範疇のものでさしたる驚きはないが、グリムジョーが惚れたという男性職員に藍染は非常に興味を持った。
「ウルキオラ」
「はい」
「今日の午後からの山本組の若頭との会食はキャンセルだ」
「わかりました。すぐに伝えます」
藍染の台詞に、ウルキオラはすぐに目の前の電話の受話器をとると何も見ずに番号を押しはじめる。その間に藍染はささっと自らの机を片付け、椅子にかけていたスーツの上着を羽織った。
「?どっか行きはるんですか?」
市丸の問いに藍染は口許に酷薄そうな笑みを浮かべてみせる。

「不遇な人生だったらしいグリムジョーにやっと訪れた幸福を、元上司として祝ってあげようと思ってね」



てわけで、ふいに仕事中思いついたHW物語のその後。

藍染創業は相当やばい仕事やってそうです。

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自己紹介:
槇原氏とカープを日々崇め奉る腐女子。ユノに並ならぬ愛を注ぐ。細々と妄想を吐き出しながら自堕落に生きる駄目社会人。
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